人事向け|休職中の従業員へ連絡―慌てずに対応するポイントは【フォーマットDL】

休職中の連絡、会社はどう対応?何に注意する?

メンタル不調で休職する従業員がいるときの初動対応は、「休職者が出る前に知っておきたい休職の基礎知識~休職制度、対応、注意点」で4つのステップで説明しました。今回の記事では、初動対応を終え、休職に入ってもらった後、休職中の従業員への連絡はどのように対応するのか、何に注意すれば良いのかについて解説していきます。ぜひ今回の記事に合わせて下記のコラムもご確認いただき、休職対応を流れでつかんでください。

休職の基本対応は、こちらのコラムでも解説しています
休職者が出る前に知っておきたい休職の基礎知識~休職制度、対応、注意点
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この記事でわかること(目次)
  • 休職中の連絡、会社はどう対応?何に注意する?
  • 休職中の連絡で注意すること3つ
  • もし連絡がつかなくなったら?
  • まとめ
  • 休職者対応に役立つ資料をご用意しています
  • すべて表示 

    休職中の連絡で注意すること3つ

    休職中も、従業員と会社との間に労働契約は存在しているため、会社は休職者の状況を把握する必要があります。そのため、休職中の連絡は可能ですが、「いつ」「誰が誰に行うか」に注意が必要です。具体的な休職中の連絡方法や注意点について確認しましょう。

    1 【大前提】 業務に関することは話さない

    休職は療養に専念するための期間です。そのため、特にメンタル不調による休職の場合は、業務と切り離して療養に専念することが重要なため、業務に関することは話さないことが大前提です。とはいえ、従業員によっては自分が休職することで「部署に迷惑がかかってしまう」ことや、「業務の状況が心配」という声を上げてくるケースもあります。休職中の従業員から業務状況を聞かれたとしても、人事や上司は休職者が安心して療養に専念できるよう配慮する姿勢が求められます。

    2 「月1~2回」「窓口は人事」「電話」がおすすめ

    【回数】 目安は月1~2回とすることが多い

    休職中に連絡の頻度が高い場合、休職者の負担となり療養に専念できなくなる可能性があります。回数の目安は月1回程度をおすすめします。新卒など、若い世代で孤立が心配な休職者の場合は月2回程度でも構いません。どのくらいの頻度が適切なのか迷う場合は、事前に産業医へ相談しておくと良いでしょう。

    【誰が】 休職者から人事担当者へ連絡

    まず、休職期間中は業務と切り離すことが重要なため、人事を連絡窓口として、上司や同僚が休職者に連絡することは避けるようにします。これは、現場でやり取りをしてしまうと、仕事の話が発生することや、復職後の業務に関する話を勝手に行うことで、休職者が安心して療養に専念することができなくなる等、後々トラブルになる可能性が高いためです。

    また、休職者からの連絡も人事担当者へ一本化してもらいます。連絡する窓口が多いと混乱してしまうことがあります。そのため、窓口となる人事担当者は人事部内でも原則1人に絞っておくこともポイントです。

    【いつ】 連絡日は相談して決める

    月に1回連絡する日を決める方法を2つ紹介します。1つ目は、事前に何週目の何曜日かを固定しておく方法です。例えば、「第3水曜日の午後〇時」などと設定します。事前に固定しておくと忘れにくく、また調整する手間が省けます。2つ目は、その都度相談して決める方法です。連絡した日に、次の連絡日を相談して決定します。

    【どのように】 電話

    連絡の手段は電話がおすすめです。電話では声や話し方から体調に関する情報が得られます。「ウェブ面談の方が直接表情を見ることができて、良いのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、本調子ではない休職者にとっては、顔を見て話すことは負担になることがあります。またメールの場合は、状態がわかりづらいことから、電話がおすすめです。また、本人が会社へ直接連絡をすることを嫌がる場合もあるかもしれません。その場合は、連絡窓口となる人事担当者の直通番号(又は会社携帯番号)を共有しておき、会社を介さないようにするというのも有効です。

    また、本人は、個人保有のスマートフォンや自宅の固定電話からの連絡が基本となり、社用携帯ではないという点も注意しておきましょう。もし社用携帯やパソコンを所有している場合、業務連絡や業務対応ができてしてしまう可能性があります。これでは、「休職期間中は業務と切り離して療養に専念させる」という前提が守れません。療養に専念させるために、会社によっては休職時に社用携帯やパソコン、セキュリティカードの回収、メールやチャットの閲覧をできないようにするなどで対応しているケースもあります。療養に専念させるために、「どこまで情報を制限するべきか」、事前に会社でルールを決めておくと安心です。

    3 連絡の内容は、体調確認

    【何を】 本人の体調などをメインに確認

    休職中に人事担当者が休職者と話す内容は、現在の体調、睡眠状態、食欲の有無、主治医のコメント、本人が心配していることなどの確認です。大事なことなので何度も言いますが、休職中は療養に専念してもらうことが優先されますので、本人が聞いてこない限り、業務や職場の状況に関する話は控えることがポイントです。また、仮に本人から仕事のことを聞かれた場合には、「心配せずに今は療養を優先してほしい」などと伝えるようにします。

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    もし連絡がつかなくなったら?

    休職者と連絡がつかなくなったとき、どのように対応すればよいでしょうか。この時、会社として重要なことは「会社が対応したことを履歴として証拠に残す」ことです。休職者でも、雇用関係が継続していることから会社の従業員であり安全配慮義務は及ぶと考えられています。そのため、休職者と連絡がつかなくなった場合、連絡を取るための対応を行い、その履歴を残しておくようにしましょう。

    また、連絡がつかないことを防ぐためにも事前になるべく多くの連絡先を聞いておきましょう。本人のメールアドレス・電話番号・住所などに加えて、家族の緊急連絡先も確認しておくことをおすすめします。社歴が長い社員は緊急連絡先が変わっていることもあるため、休職に入る前に改めて確認しておくと安心です。

    連絡がつかなくなった時の5つの対応

    では音信不通の際、どう対応すべきでしょうか。主な対応として5つ取り上げます。いつ誰がどこまでどんな対応したのか文書などに履歴を残すことも忘れずに行いましょう。

    対応1 休職者本人に複数回連絡

    休職者と連絡が取れない場合は、安否確認を優先します。休職者本人へ複数回連絡を取り、もし留守番電話に接続されればメッセージを残しておきます。

    対応2 留守番電話にメッセージを残す

    留守番電話に接続された場合は、「早急に会社に連絡を入れるように」とメッセージを残します。その際、「〇月〇日までに連絡がない場合は、自宅への訪問や緊急連絡先に連絡する」という可能性があることも添えておきます。

    対応3 緊急連絡先へ連絡

    決めていた期日までに、連絡が来ない場合は、家族などの緊急連絡先へ連絡します。電話番号がわからず住所のみ分かっている場合は手紙を送ることも一案です。家族と連絡が取れた場合は、家族から本人の状況を確認してもらうことや、会社からのメッセージを伝えてもらいます。

    対応4 休職者本人の自宅へ訪問

    もし家族にも連絡がつかない場合、次の手段は、自宅への訪問です。もし複数回訪問し、何度もインターホンを押しても出ない場合は不動産の管理会社や警察へ連絡することも検討する段階です。また、後々のトラブルになった際に備え、訪問したという証拠として、家にメモ書きを残すことや訪問時の様子を写真に撮っておくと、訪問した事実を立証することにつながります。

    対応5 上記で連絡が取れない場合

    どのような手段をとっても本人や家族と連絡が取れず、休職期間が終了する場合は、就業規則に則り休職期間の延長や退職手続きを行います。なお、自然退職が予測される場合は、退職予定日の1カ月前くらいに休職者へ「〇月〇日までに連絡が取れない場合は退職となる」といった最終連絡期限を書面で通知しておくことで、「退職になるなんて知らなかった」と言われるトラブルを避けることにつながります。連絡が取れない場合は特に書面を送る際に内容証明などの形式をとり、書面を授受したという公的な記録を残すことも重要です。

    このように、休職者と連絡が取れなくなったときに重要なことは、「会社対応の履歴を証拠として残す」ことです。休職者の安全を最優先に考えることはもちろんですが、退職などのトラブルで会社責任を問われないよう、安全配慮義務を果たすようにしましょう。

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    まとめ

    休職中も、従業員と会社との間に労働契約は存在しているため、会社は休職者の状況を把握する必要があります。一方で、連絡が休職者の負担にならないよう配慮も必要です。休職中の連絡は電話で月1~2回程度にとどめ、会社側の窓口を人事担当者として現場業務と切り離すことが重要です。従業員の安全や健康を最優先に考えることは当然ながら大切ですが、万が一連絡が取れなくなった場合は、会社がやれるだけの対応をしたという証拠を残すことで後々のトラブル防止につながります。対応に悩んだ際は、産業医や弁護士に相談しながら慎重に検討して進めていきましょう。

    エリクシアでは、メンタル不調者発生時の対応フロー整備や、休職時に必要な各種ひな形の提供を含めて、人事担当が安心して運用できる体制づくりのサポートや実際に不調者が発生した時の対応方法のご相談も行っています。ぜひお気軽にお問合せください。

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    この記事の執筆者:エリクシア産業保健チーム

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    この記事は、株式会社エリクシアで人事のお悩み解決に携わっている産業保健師チームが執筆し、産業医が責任をもって添削、監修をしました。

    株式会社エリクシアは、嘱託産業医サービスを2009年より提供しています。衛生管理体制の構築からメンタルヘルス対策、問題行動がある社員への対応など「圧倒的解決力」を武器に、人事担当者が抱える「ヒトの問題」という足枷を外す支援を行っています。

    【記事の監修】
    産業医 上村紀夫
    産業医  先山慧

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